目次 — 知りたいところから読む

電力工学は発電所だけの学問ではない。発電した電力を運び、使える電圧へ変え、時間ごとの需要へ合わせるところまでが一つのシステムである。この記事では、機器の詳しい原理へ入る前に、既存記事を読む地図を作る。

全体を四つに分ける

図1 · 横にスクロールして図を読む
一次エネルギーから発電・送電・配電・需要と蓄電へつなぐ学習の流れ

図は学習順であり、電力の流れが常に一方向という意味ではない。太陽光や蓄電池を持つ需要家から系統へ電力が流れることもある。発電・変電・送配電の基本的な役割はEIAの解説に整理されている。

まずkWとkWhを分ける

1 kWの負荷を3時間使えば、一定電力という仮定でエネルギーは3 kWhになる。kWはその瞬間の供給能力、kWhは時間を積み重ねた量である。したがって「10 kWhの電池」であっても、10 kWを出せるとは限らない。出力上限と使用可能エネルギーを別々に読む。

理想化した例として、使用可能エネルギー3 kWh、負荷1 kW、変換効率90%なら、供給時間は 3 imes0.9/1=2.7 時間。温度、劣化、補機電力、SOC制限を追加すれば結果は変わる。電池入門へ進む前に、この区別を確認したい。

発電方式は変換の入口から読む

火力原子力では熱から回転、水力風力では流体から回転、太陽光では光から直流へ進む。発電の概要と対応づけて、エネルギー源と電気へ変える機器を分けて書くと比較しやすい。

電圧を上げて運ぶ理由

直流の単純化したモデルでは P=VI、抵抗損失は I^2R。同じ電力と線路抵抗で電圧を10倍にできれば、電流は10分の1、抵抗損失は100分の1になる。ただし、これは交流の無効電力や絶縁、変圧器の損失を無視した比例関係であり、実際の送電線の損失率ではない。変電・送電で条件を広げる。

需給と変換をつなぐ

疑問 読む記事 確認する区別
直流を交流へどう変えるか インバータ 変換と発電
需要が急に増えたら何が起きるか 系統慣性 瞬時の応答と長時間の供給
電力を夜へ移せるか 揚水・水素 出力と貯蔵量
多数の設備をどうまとめるか VPP 個別機器と集約制御

蓄電は発電源の代わりに無限のエネルギーを生むものではない。充放電で時間を移し、損失を伴う。EIAの蓄電解説も、この役割を確認する入口になる。

自分の理解を確かめる

「太陽光の定格出力が家の最大負荷より大きければ、電池なしで一日中運転できるか」を考える。定格出力だけでは、夜間や天候による時間変動を判断できない。電力システム概論へ戻り、電源・線路・変換器・負荷・蓄電の五つを同じ図に置いてみよう。

次に読む

系統の全体像を詳しく読む電力工学入門 — 発電・送電・蓄電をひとつのシステムとして読む出力と貯蔵量の区別を深める電力用電池入門 — セルの化学から系統用蓄電池・BMSまで同じ分野を別の観点から読む水力発電入門 — 水頭と流量を、調整力と蓄電へ変える